INSIGHT / 随時更新
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市場・制度・ディールの構造的論点を、速報ではなく熟成された視座で。中小企業庁の公式文書と、JMIが独自に集計したリーグテーブルデータを起点に、中小M&A市場の歪みと公理を解きほぐす随時論考。読者は経営者・アドバイザー・支援機関の実務担当者を想定。
CLUSTER I
FEES & PRICING
手数料・報酬構造
N° I-1
レーマン方式の4基準
——「同じレーマン」で手数料が2倍動く構造
「レーマン方式」は単一の計算手法ではなく4種類の基準が併存しており、選択次第で同一案件の手数料が2倍近く動く構造である。
株価レーマン・移動総資産レーマン・オーナー受取額レーマン・企業価値レーマンの4基準を計算ロジックで対比し、譲渡企業の負債構造によって手数料水準が大きく変動するメカニズムを示す。手数料論議の起点となる基礎整理である。
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N° I-2
誰がどの基準を使うか
——機関種別で見るレーマン方式
レーマン方式の基準採用には機関種別ごとの明確な偏りがあり、誰に依頼するかが手数料水準に直結する構造になっている。
中小企業庁登録829社の実データを機関種別×レーマン基準でクロス集計。仲介・FA・税理士などアドバイザー業態は株価レーマンで揃い、地方銀行は移動総資産(66.5%)に集中する。業態の経済構造が方式選好を規定する構図を、中企庁アンケートと並列で可視化する。
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N° I-3
中小M&Aの実効手数料率
——レーマン料率と中企庁データの差が示すもの
規程上のレーマン料率と、実取引の実効手数料率には大きな乖離がある。最低手数料の存在が小規模案件ほど実効料率を跳ね上げる構造を生んでいる。
中小企業庁が譲渡価額帯別に公表する報酬率(実効手数料率)と、レーマン規程料率との差を譲渡価額帯ごとに対比。最低手数料の業界分布とあわせて、中小M&A主流帯における手数料負担の実像と、価額帯による構造変化を定量的に示す。
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N° I-4
あなたの手数料は、なぜその率なのか
——中小企業庁が初めて開示した実データを読む
JMIが本クラスタで示してきた構造——方式で動く・最低手数料が跳ね上げる——を、当局自身のデータが確認し、当局自身が政策の対象として問題化した。
中企庁初の手数料実データ分析を読む。純資産軸でも成立した規模の逆進性、業態間の均質性という新しい発見、「どの算定方式が合理的か整理する必要」という事務局の踏み込み。公式ツールが答えないことまで整理する。
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CLUSTER II
VALUATION
業種別倍率
N° II-1
中小M&Aに「相場倍率」は存在するか
——EV/EBITDA業種別データから読む(前編)
全業種を通じた単一の「相場倍率」は存在しないが、業種別のQ1〜Q3レンジとしての「相場」は確かに存在する。中央値ひとつで語ることの危うさを、中企庁データが示している。
中小企業庁が公表する登録支援機関経由のM&A成約データ(EV/EBITDA倍率、n=1,987)を業種別に集計。中央値ではなくQ1〜Q3レンジで業種別の「相場」を捉え、規模ではなく業種で評価倍率の構造が決まることを示す。
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N° II-2
PBR・PER業種別倍率
——3指標で立体化する「業種別の相場」(後編)
EV/EBITDA・PBR・PERの3指標を組み合わせることで、業種ごとの相場感は単一指標では見えない立体構造として把握できる。
PBR・PER業種別倍率を前編のEV/EBITDAと併せて読み解き、業種ごとの「相場のかたち」を3軸で可視化。業種・財務構造に応じてどの指標を起点とすべきか、3指標Q1〜Q3レンジの重ね合わせという作法を示す。
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CLUSTER III
QUALIFICATION
資格・支援人材制度
N° III-1
中小M&A資格試験は、支援の質を何で担保しようとしているのか
——倫理25%と禁忌肢が示す設計の意思
倫理・行動規範は、配点・科目別最低基準・禁忌肢の三重に守られた唯一の科目である。資格試験は知識量ではなく支援者の規範を選別する装置として設計されている。
中小企業庁が2026年3月に公表した資格試験の設計詳細を一次資料から読み解く。規律の対象が行為から事業者、そして個人へ降りてきた制度遷移の到達点として、出題割合・免除否定・禁忌肢に埋め込まれた設計の意思を整理する。
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N° III-2
禁忌肢は、不適格な支援者を本当に見分けられるのか
——サンプル問題が引いた一線
禁忌肢は実務の裁量を裁く装置ではなく、裁量の外側にある最低限の一線を確定する装置である。守備範囲の狭さは欠陥ではなく設計である。
合格点に達していても不合格となる第三の関門。サンプル問題の解剖と情報提供窓口の実例から、判定の構造、出題類型の供給源、「正誤が割れる」という懸念への設計側の回答を読む。
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